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R#005 FinGo入社24日目。コーヒー自販機にキャッシュレスを付ける。それだけで終わっていいのだろうか?
外回りをしていると、急にアイスコーヒーが飲みたくなることがあります。
暑い日に歩き回ったあと、コンビニを見つけると、
「ちょっとコーヒー飲みたいな」
と思って入るのですが、レジが混んでいると、そのまま出てしまうこともあります。
コーヒー1杯のために、わざわざ列に並ぶ。
冷静に考えれば数分のことなのですが、暑い日に歩き回ったあとの自分にとっては、その数分が意外と大きかったりします。
そんな経験があるからか、最近ふと思いました。
「コンビニのコーヒーマシンが、もっと無人機に近い形になったら個人的にかなり最高なのでは?」
コーヒーを買うためにレジに並ぶのではなく、コーヒーマシンの前でそのまま支払って、受け取る。
そんな形なら、もっと気軽に買えそうです。
そんなことを考えていたタイミングで、ちょうど気になるニュースがありました。
2026年9月9日、エム・ピー・ソリューションが、ベイシアの「オトナリマート伊勢崎下道寺店」に設置されたコーヒー自販機へのキャッシュレス決済端末「IM10」の導入事例を発表しました。
このコーヒー自販機では、キャッシュレス決済に対応したことで、レジに並ばず、その場でコーヒーを購入できるようになったそうです。
「コーヒー自販機がキャッシュレスになった」という、一見するとシンプルなニュースです。
でも、詳しく見てみると、少し気になることがあります。
今回変わったのは、支払い方法だけではありません。
お客様がどこで買うのか。
スタッフがどこで対応するのか。
現金をどう管理するのか。
決済の方法が変わることで、店舗の「売り方」そのものが変わっています。
そして、このニュースをきっかけに考えてみたくなりました。
コーヒーマシンのキャッシュレス化で、本当に考えるべきなのは「決済できるか」だけなのでしょうか?
目次
- コーヒー1杯のために、レジに並ぶ?
- キャッシュレスにすれば、すべて解決する?
- 決済端末を付けると、店舗の仕事も変わる
- コーヒーマシンは、キャッシュレス化と相性がいい?
- 無人機の決済端末に必要なのは「払えること」だけじゃない
- 自販機メーカーにとっても、決済は「後付け」ではなくなる
- そこで、決済端末の「組み込み方」が重要になる
- キャッシュレス化は、自販機を「小さな店舗」にする?
- 「キャッシュレスに対応しているか?」から、その先へ
コーヒー1杯のために、レジに並ぶ?
ベイシアでは以前、コイン投入式のコーヒー自販機を運用していました。
現金を持っている人なら、その場でコインを入れてコーヒーを購入できます。
一方、キャッシュレスで支払いたい人は、有人レジでコインを購入してから、自販機でコーヒーを買う必要がありました。
コーヒーそのものはセルフなのに、キャッシュレスで買おうとするとレジに並ばなければならない。
少し不思議な仕組みです。
「コーヒーだけ買いたい」という人からすれば、レジに並ぶ時間は小さなストレスになります。
そして、これはお客様だけの問題ではありません。
スタッフから見ても、コーヒーを購入するためだけのお客様をレジで対応する必要があります。
つまり、ここで起きていたのは単純な「決済手段の不足」ではありません。
決済方法が、店舗のオペレーションにまで影響していた。
ということです。
そこで、コーヒー自販機そのものにキャッシュレス決済端末を搭載するという方法が出てきます。
これなら、お客様はレジに寄らず、自販機の前で直接支払いができます。
「キャッシュレスに対応する」というと、つい「カードやスマホで払えるようにすること」と考えてしまいます。
でも、本当に変わるのはそこだけなのでしょうか。
キャッシュレスにすれば、すべて解決する?
ここで、もう一つ考えなければならないことがあります。
現金で払いたい人はどうするのか?
キャッシュレス決済が普及しているとはいえ、すべての人がキャッシュレスを使うわけではありません。
もしコーヒー自販機を完全キャッシュレスにしてしまえば、現金を使いたい人は利用できなくなる可能性があります。
店舗側としては、
「キャッシュレスには対応したい」
でも、
「現金利用者も無視できない」
という悩みがあります。
今回のベイシアの事例が面白いのは、ここにも工夫があることです。
キャッシュレス利用者は、自販機に設置された「IM10」で直接決済します。
一方、現金利用者は有人レジで現金を支払い、使い切り型のQRコード付きクーポン「ジハトク」を受け取ります。
そのQRコードを自販機側の端末にかざすことで、コーヒーを購入できます。
つまり、
現金とキャッシュレスのどちらにも対応しながら、コーヒーを買う場所は自販機に集約する。
そんな仕組みになっています。
ここから見えてくるのは、キャッシュレス化の本当の難しさです。
単純に「現金をキャッシュレスに置き換えればいい」という話ではありません。
お客様がどう支払うのかと、店舗がどう販売するのかをセットで考える必要がある。
ということです。
決済端末を付けると、店舗の仕事も変わる
今回の導入で変わったのは、お客様の支払い方法だけではありません。
ベイシアの事例では、キャッシュレス利用者が自販機で直接購入できることで、レジの混雑緩和につながりました。
さらに、自販機本体で現金を管理する必要がなくなることで、現金管理の負担や盗難リスクの軽減にもつながっています。
価格変更にも柔軟に対応できるようになったそうです。
つまり、決済端末を導入することで変わるのは、
- お客様がどこで支払うか
- スタッフがどこで対応するか
- 現金をどこで管理するか
- 価格をどう変更するか
- 自販機をどう運用するか
といった部分まで広がります。
ここが、今回のニュースで個人的に面白いと感じたところです。
決済は、店舗運営の「最後の支払い部分」だけを変えるものではない。
支払い方が変わることで、その前後にある店舗オペレーションまで変わることがあります。
コーヒーマシンは、キャッシュレス化と相性がいい?
今回のニュースを見ていて、もう一つ気になったことがあります。
それは、
コーヒーマシンとキャッシュレス決済は、相性がいいのではないか?
ということです。
コーヒーは、いわゆる「ちょっと買う」商品です。
財布を出して現金を数えるより、スマートフォンやカードをかざして、さっと購入するほうが体験として自然です。
しかも、コーヒーマシンが置かれる場所は店舗だけではありません。
オフィス、ホテル、商業施設、工場、大学など、人が集まるさまざまな場所が考えられます。
そこにキャッシュレス対応のコーヒーマシンがあれば、店員を介さずに販売できます。
これは単に、
「現金を持っていなくてもコーヒーが買える」
という便利さだけではありません。
人がいなくても販売できる仕組みをつくれる。
ということです。
そう考えると、コーヒーマシンのキャッシュレス化は、決済の話だけではなくなってきます。
無人機の決済端末に必要なのは「払えること」だけじゃない
では、コーヒーマシンや自販機などの無人機器に取り付ける決済端末は、何を基準に選べばいいのでしょうか。
もちろん、
- クレジットカードが使える
- 電子マネーが使える
- QRコード決済が使える
といった対応決済ブランドは重要です。
でも、無人機の場合、それだけでは十分とは言えません。
なぜなら、店員がすぐ横にいるわけではないからです。
お客様が操作に迷っても、レジのようにスタッフがすぐ対応できるとは限りません。
端末にトラブルが起きた場合も同じです。
さらに、自販機やコーヒーマシンでは、決済端末単体ではなく、
「決済端末+機械本体」
として考える必要があります。
どんな通信方式で機械と接続するのか。
どんな設置環境なのか。
既存の機械に後付けできるのか。
導入後の保守や運用をどうするのか。
こうしたことまで含めて考える必要があります。
つまり、無人機向けの決済端末に求められるのは、
「支払えること」だけではなく、「その機械の中で動き続けられること」
なのかもしれません。
自販機メーカーにとっても、決済は「後付け」ではなくなる
これは、自販機やコーヒーマシンのメーカー側から見ても重要な変化です。
これまでは、自販機本体が商品を販売するための中心でした。
しかし、キャッシュレス化が進めば、
決済端末と自販機本体をどう接続するのか
という問題が製品設計の段階から関わってきます。
例えば国内の自販機では、JVMA(日本自動販売機工業会)の通信規格が使われています。
一方で、海外製の自販機などではMDBと呼ばれる通信プロトコルが使われているケースもあります。
同じ「自販機」でも、機械側の仕様によって必要な決済端末が変わることがあります。
そのため、メーカーやオーナーがキャッシュレス化を検討するときには、
「どの決済ブランドに対応しているか?」
だけでなく、
「この機械と、どうつながるのか?」
を見ることが重要になります。
そこで、決済端末の「組み込み方」が重要になる
FinGoでは、自販機や券売機などの無人機器向けに、決済端末「IM28」を提供しています。
IM28は、国内標準のJVMA通信インターフェイスに準拠した端末です。
自販機などの機器と接続し、キャッシュレス決済を受け付けるための端末として利用できます。
また、無人・屋外環境での利用を想定し、IP56やIK08といった防塵・防水・耐衝撃に関する仕様にも対応しています。
ここで大切なのは、IM28が「いろいろな決済が使える端末だから便利」ということだけではありません。
自販機や無人機器では、
「決済端末そのものが、機械の一部として機能する」
ことが重要です。
だからこそ、端末のスペックを見るときも、
「何の決済が使えるか?」
だけではなく、
「どの機械と接続できるのか?」
「どんな場所で使えるのか?」
「導入後にどう運用するのか?」
まで見る必要があります。
キャッシュレス化は、自販機を「小さな店舗」にする?
今回のベイシアのコーヒー自販機の事例を見ていると、もう一つ考えたくなります。
キャッシュレス決済。
通信。
売上データ。
マーケティング。
こうした機能が自販機に組み込まれていくと、自販機は単なる「商品を出す機械」ではなくなっていくのではないでしょうか。
もちろん、自販機がそのまま店舗になるわけではありません。
でも、
人がいなくても販売できる。
決済できる。
販売データを取得できる。
運用を改善できる。
という仕組みが整っていけば、
「無人で販売するための小さな店舗」
のような存在に近づいていく可能性はあります。
そう考えると、キャッシュレス決済は自販機に付ける「便利なオプション」ではなく、無人販売を成立させるためのインフラになっていくのかもしれません。
「キャッシュレスに対応しているか?」から、その先へ
コーヒー1杯を買う。
私たち消費者からすると、それだけの出来事です。
スマートフォンやカードをかざして、コーヒーを受け取る。
ほんの数秒で終わります。
でも、その数秒を成立させるためには、
決済端末があり、
自販機やコーヒーマシンと接続され、
通信が行われ、
決済処理が行われ、
その売上が店舗の管理につながっています。
今回のベイシアの事例は、コーヒー自販機のキャッシュレス化という小さな変化に見えます。
でも、その裏側には、
「これから無人で商品を売るには、何が必要なのか?」
という、もっと大きな問いがあります。
これから自販機やコーヒーマシンのキャッシュレス化を考えるとき、
「キャッシュレスに対応しているか?」
だけを見るのではなく、
「その機械で、どんな販売体験をつくりたいのか?」
まで考えてみる。
そうすると、決済端末の選び方も少し変わってくるかもしれません。
キャッシュレス化は、決済手段を増やすだけではありません。
自販機の「売り方」そのものを変えるきっかけになる。
コーヒー1杯から始まる変化は、思っているより大きいのかもしれません。