2025 年の訪日外国人数は 4,268 万人に達し、初めて 4,000 万人を突破しました※1。観光地やその周辺の店舗にとって、外国人客はもはや無視できない客層です。
多くの店が「クレジットカード(Visa のタッチ決済)に対応しているから、外国人客も大丈夫」と考えています。しかし、ここに見落としがあります。訪日客の決済手段は、市場・地域によって大きく違うからです。Visa のタッチだけでは、実は一部の客層を取りこぼしている可能性があります。
本記事では、訪日客がどこから来て、それぞれどんな決済手段を使うのかを整理し、自店の客層に合わせて「何を入れるべきか」を判断するための軸を示します。
まず、客層の全体像です。2025 年の訪日外国人数 4,268 万人のうち、上位を占めるのはアジアの市場です※1。
韓国:945 万人
中国本土:909 万人
中国台湾:676 万人
米国:331 万人
韓国・中国本土・中国台湾の 3 つの市場だけで、約 2,530 万人。訪日客全体のおよそ 6 割を占めます※1。つまり、インバウンド決済を考えるうえでは、この東アジア 3 つの市場の決済事情をおさえることが出発点になります。そして、これらの市場こそ、決済手段が日本や欧米と大きく異なるのです。
市場ごとに、主に使われる決済手段を見ていきます。
中国本土は、QR コード決済が圧倒的です。キャッシュレス決済比率は 8 割を超え、その大半が Alipay と WeChat Pay の 2 大サービスに集中しています※2。中国本土の客の多くは、日本でも普段どおり Alipay や WeChat Pay で払おうとします。店側がこれらの QR に対応していなければ、中国本土の客は支払う手段がない——ここが最初の取りこぼしポイントです。
韓国は、クレジットカードが主流です。キャッシュレス決済比率は 9 割に上り、その多くがカード決済とされます※2。韓国客は、カード対応していればある程度カバーできます。ただし近年は Kakao Pay などの QR コード決済も拡大しています※2。
中国台湾は、カードと QR の併用です。LINE Pay は「2 人に 1 人が利用」とされ、中国台湾独自の QR である JKO Pay も加盟店を広げています※2。中国台湾では、2025 年までにキャッシュレス比率 90% を目指す動きが進んできました※2。中国台湾の客には、カードに加えて QR があると安心です。
欧米は、クレジットカードのタッチ決済が一般的です。ここは Visa のタッチで概ねカバーできます。
整理すると、「Visa タッチだけ」で十分なのは欧米客と韓国客の一部にとどまり、中国本土・中国台湾の QR 中心の客層を取りこぼす構図が見えてきます。
ここまでを一覧にすると、自店の客層と必要な決済手段の関係は次のように整理できます。
自店にどこの客が多いかによって、優先して入れるべき決済は変わります。中国本土の客が多い店なら QR(Alipay・WeChat)は外せませんし、欧米客中心ならカードのタッチが軸になります。
決済手段が足りないことの本当のコストは、「売れたはずの売上が消える」ことにあります。
中国本土客 909 万人、中国台湾客 676 万人——この QR 中心の客層が、自店で QR を使えなければ、「買いたいのに買えない」場面が生まれます。とくにインバウンド客は土産物や飲食でまとまった金額を使う傾向があり、1 件の取りこぼしが小さくありません。
決済手数料を「コスト」と捉えると対応をためらいがちですが、見方を変えれば、それは対応できる客層を広げるための投資でもあります。手数料を払ってでも中国本土・中国台湾の QR 客を取り込めるなら、その増収と天秤にかけて判断する——この観点は、決済の総コストを考えるうえでも共通します(記事末尾に関連記事)。
では、Alipay も WeChat も LINE Pay も、各国のカードも……と対応していくと、今度は別の問題が出てきます。決済手段ごとに端末や契約を分けると、レジまわりが煩雑になり、運用の手間が増えるのです。多国籍の客層に対応しようとするほど、この負荷は大きくなります。
ここで現実的なのは、手段を絞ることではなく、1 台で複数の決済手段をまとめることです。国際カードのタッチ決済から各種 QR コード決済までを 1 台でカバーできれば、客がどこから来ても、レジ 1 台で対応できます。機器も契約もすっきりまとまり、スタッフの操作も統一できます。
「客層別に何を優先して入れるか」を決めたうえで、「増えても 1 台にまとめる」。この 2 つがそろって、はじめてインバウンド決済は現実的に回ります。
2025 年の訪日客は 4,268 万人で過去最高※1。韓国・中国本土・中国台湾の 3 つの市場で約 6 割を占める。
訪日客の決済手段は市場・地域によって大きく違う。中国本土は QR(Alipay・WeChat)、韓国はカード中心、中国台湾はカード+QR※2。「Visa タッチだけ」では中国本土・中国台湾の QR 客を取りこぼす。
取りこぼしは機会損失。手数料は「対応できる客層を広げる投資」という増収の観点でも見る。
対応手段が増えても、1 台にまとめれば運用は煩雑にならない。「客層別の優先順位」と「1 台への集約」が両輪。
本記事で見てきた「客層に合わせてマルチに対応し、1 台にまとめる」という考え方は、決済端末の選び方に直結します。FinGo の決済端末「PT-10 Pro」は、1台で国際カードのタッチ決済(Visa・Mastercard・JCB・など)から、各種 QR コード決済までを幅広くカバーできる設計です。多国籍の客層が訪れる観光地の店舗でも、決済手段ごとに端末を分けず、レジまわりを 1 台にまとめられます。
操作もシンプルにこだわっています。外国人客の対応は言葉の壁もあり、レジでの手間取りが起きやすい場面です。直感的に使える端末であれば、ピーク時のオペレーションやスタッフ教育の負担を抑えられます。
なお、空港や観光施設の無人売店など、無人での販売を検討する場合には、無人運営向けの端末「IM-28」もあります。有人店舗か無人かに応じて、最適な構成をご提案できます。
「うちは中国本土・中国台湾の客が多いが、今の決済で取りこぼしていないか」「複数の QR やカードに、端末を増やさず対応したい」——そうしたお悩みがあれば、自店の客層に合わせて、何をどう 1 台にまとめるかを一緒に整理します。対応できる決済ブランドの詳細とあわせて、お気軽にご相談ください。
QR コード決済、とくに Alipay と WeChat Pay への対応が優先です。中国本土はキャッシュレス比率が 8 割を超え、その大半がこの 2 大 QR に集中しています※2。中国本土の客の多くは日本でも QR で支払おうとするため、カード(Visa タッチ)だけでは支払い手段がなく、取りこぼしにつながります。
必ずしもそうではありません。自店にどこの客が多いかで、優先順位は変わります。中国本土・中国台湾客が多いなら QR を厚く、欧米客中心ならクレジットカードのタッチを軸に、というように客層構成から判断するのが現実的です。そのうえで、増えても 1 台にまとめられる端末を選んでおくと、客層が変わっても運用が重くなりません。
あります。1 台で国際カードのタッチ決済(Visa・Mastercard・JCBなど)と、各種 QR コード決済に対応できる端末を選べば、決済手段ごとに機器を分ける必要がなく、多国籍の客層をレジ 1 台でカバーできます。FinGo の PT-10 もこのタイプです。対応できる具体的なブランドは、店舗の状況に応じてご確認ください。
端末のタイプや必要な決済手段の構成によって、初期費用や月額の負担は変わります。まず自店の客層から優先度の高い決済を見極め、1 台に集約することで、端末や契約を増やしすぎずに導入できます。具体的な費用は構成によって変わるため、見積もりやご相談で確認するのが確実です。
決済手段の「優先順位のつけ方」と「1 台への集約」は、飲食店向けにこちらでも整理しています。 「飲食店のキャッシュレス、『全部対応』が正解とは限らない」 https://note.com/fingo/n/n7adbd09207ca
QR コード決済の導入を検討する際は、こちらもご参照ください。 「店舗が QR ステッカーを導入するメリット・デメリット」 https://note.com/fingo/n/n40104ca5c14c
決済手数料を「総コスト」と「増収」の両面で考える視点は、こちらで詳しく触れています。 「『手数料が高いから現金に戻す』は得か」 https://note.com/fingo/n/nfa90472f1a3b
※1 やまとごころ.jp「2025 年の訪日客数 4268 万人、前年比 15.8%増で過去最高を更新」(日本政府観光局 JNTO 推計値。総数 4,268 万 3,600 人、韓国 945 万人・中国本土 909 万人・中国台湾 676 万人・米国 331 万人) https://yamatogokoro.jp/inbound_data/59128/
※2 宿研(やどけん)「インバウンド対応のキャッシュレス決済」解説記事(市場・地域別の利用実態:中国本土=キャッシュレス 8 割超・Alipay/WeChat Pay、韓国=キャッシュレス 9 割・カード中心、中国台湾=LINE Pay「2 人に 1 人」・JKO Pay) https://www.yadoken.net/archives/column/inbound-cashless