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#027 「手数料が高いから現金に戻す」は得か — 決済端末の「月額」まで含めた総コストで考える

#027 「手数料が高いから現金に戻す」は得か — 決済端末の「月額」まで含めた総コストで考える

「決済手数料が高いから、いっそ現金に戻そうか」——そんな声が、中小店舗の経営者から聞かれるようになりました。カード決済の手数料は対面でおおむね 3.24% 前後※1。薄利の業態ほど、この数字が利益を直接削るのは事実です。

ここで言う「総コスト」とは、決済手数料(料率)だけでなく、端末の初期費用・月額固定費・運用の手間、そして現金を扱うこと自体のコストまでを含めた、決済まわりの費用の全体像を指します。本記事では、料率だけでは見えないこの総コストを 5 つの費用に分けて整理し、「やめる/続ける」の前に何を見るべきかを考えます。

結論を先に言えば、料率は総コストの一部にすぎません。現金に戻せば手数料はゼロになりますが、別のコストが戻ってきます。そしてキャッシュレスを続ける側にも、料率以外に見落とされがちな費用がある。とりわけ「月額」は、料率ほど比較されないまま積み上がっていく費用です。順に見ていきます。

現金に戻しても、別のコストが「戻ってくる」

現金に戻せば決済手数料はかかりません。しかし、現金を扱うこと自体にコストがあります。

まず、両替・釣銭の準備です。近年、銀行の両替手数料・大量硬貨取扱手数料の有料化が相次ぎました。静岡銀行は 2024 年 3 月に「1 日 10 枚まで無料」を廃止※2。北陸銀行は 2024 年 10 月の改定で、両替手数料を 1〜20 枚 330 円、21〜100 枚 550 円としています※2。北海道銀行も 2024 年に大量硬貨入金手数料を改定しました※2。これらはキャッシュレス化の浸透と事務コスト上昇を背景とした構造的な動きで、釣銭づくりが「直接の費用」になりつつあります※3。

さらに、売上金の集計・銀行への入金といった日々の手間、現金を店に置くことによる盗難リスクもあります。キャッシュレス比率が上がるほど、現金併用の店では「少数の現金客のために、現金管理の体制だけは維持する」という非効率も生まれます。加えて、現金しか使えない店では、キャッシュレスで払いたい客の購買意欲の低下につながりかねません※4。

つまり、現金回帰は「料率ゼロ」ではあっても「コストゼロ」ではありません。判断は「料率 vs 現金」ではなく、双方のコストを並べて行う必要があります。

手数料は「対応客層を広げる投資」でもある — コストの裏にある収益面

ここまで現金側のコストを見てきましたが、キャッシュレス側には、料率という数字だけでは見えない「収益」の側面もあります。

決済手数料は、たしかに売上から差し引かれる費用です。しかし見方を変えれば、それは「対応できる客層を広げるための投資」でもあります。現金しか使えなかった店が、カード・QR・電子マネーに対応すれば、これまで取りこぼしていた客にも売れるようになる。キャッシュレスで支払いたいという客が増えている今、この「対応できる客が広がる」ことによる増収は、手数料の負担と天秤にかけるべき、もう一方の皿です。

手数料率 3% を「売上の 3% が消える」と捉えるか、「対応客層を広げるための 3%」と捉えるか。同じ数字でも、判断は変わってきます。手数料という一点だけを見て「高いからやめる」と決めると、この収益面がすっぽり抜け落ちてしまう。

もちろん、増収がどれだけ出るかは業態や立地によって異なります。そして次に見るように、キャッシュレスには料率以外のコストもある。だからこそ、手数料という片方の数字ではなく、収益面と総コストの両面で見る必要があるのです。

キャッシュレスの総コストは、なぜ「料率」だけで測れないのか

では、そのキャッシュレス側のコストを具体的に見てみましょう。多くの経営者が比べるのは決済手数料(料率)です。たしかに料率は、売上に応じて発生する変動費として分かりやすい数字です。

しかし、決済まわりの費用は料率だけではありません。端末の初期費用、毎月かかる月額固定費、そして日々の運用工数。固定費と変動費を分けて考える視点は、別記事「新規開業時に知っておきたい『月額費用』と『決済手数料』の考え方」でも触れています(記事末尾にリンク)。本記事はその先で、料率以外の費用がどれだけ判断を左右するかに踏み込みます。

問題は、料率は誰でも比較するのに、初期費用・月額・工数は見落とされやすいという点です。とりわけ月額は、契約してしまえば毎月自動的に引き落とされ、意識に上りにくい。次の項で、この「月額」を掘り下げます。

見落とされやすい「月額」という固定費は、いくらかかるのか

月額費用は、売上の多寡に関わらず毎月発生する固定費です。端末のレンタル料、システム利用料、サポート費用などが含まれます。

金額は、端末のタイプによって大きく変わります。スマートフォンやタブレットに小型のカードリーダーをつなぐタイプは、月額 0 円のサービスが多く見られます※5。初期費用も抑えやすい一方、別途タブレットなどを用意する必要があり、レシート印刷や耐久性、複数決済の集約といった面では制約が出る場合があります。

これに対して、端末単体で多決済をまとめて処理するオールインワンの据置型には、費用のかかり方が二通りあります。端末本体が実質 0 円で提供される代わりに月額が 3,000〜8,000 円前後かかるプランもあれば※6、本体を買い切るタイプもあります。後者では、本体だけで数万円〜10 万円前後の初期費用がかかる例も珍しくありません※6。いずれにせよ、初期費用と月額のどちらに負担が乗るかが方式によって変わるだけで、料率以外のところで費用が生じる点は共通です。

ここで効いてくるのが「積み上がり」です。仮に月額 3,300 円のプランを 5 年間使えば、それだけで約 20 万円。複数台を設置すれば、さらに膨らみます(これは一般的な相場をもとにした試算で、特定サービスの価格ではありません)。料率を 0.1% 下げる交渉に労力を割くより、月額の差のほうが総額に効く——そういう場面は珍しくありません。料率は売上に比例しますが、月額は売上がゼロの月でも出ていく。この性質の違いが、見落としを生みます。

「総コスト」で見る — 5 つの費用を並べる

ここまでの費用を一覧にすると、決済まわりの判断軸は次の 5 つに整理できます。

どの費用が効くかは、業態によって変わります。客単価が高く決済件数が少ない店なら料率の影響は限定的で、むしろ月額や工数が効く。逆に薄利多売なら料率が重い。自店の売上構造に当てはめて、5 つを並べて見ることが出発点です。料率という 1 つの数字だけで「やめる/続ける」を決めるのは、判断材料が足りていません。

総コストを下げる現実解 —「やめる/続ける」の先へ

総コストの視点に立つと、選択肢は「現金に戻す」か「高い手数料を払い続ける」かの二択ではなくなります。第三の道は、総コストと手間そのものを下げることです。

具体的には、3 つの方向があります。初期費用と月額がともに軽い端末を選ぶこと。1 台で複数の決済手段をまとめ、決済手段ごとに端末を分けたりタブレットを別途持ったりせずに済ませること。そして、端末と POS・レジまわりがきちんと連携し、売上を二重に入力するような手間を生まないこと。機器や操作がまとまっていれば、④の運用工数も抑えられます。

どれも特別な仕組みではありません。料率という 1 つの数字で「やめる/続ける」を決める前に、初期・月額・工数まで含めた総コストを下げる選び方ができるか。そこに、現金回帰でも我慢でもない、第三の道があります。

私たちの現場では

決済端末のご相談をいただくとき、経営者の方がまず聞かれるのは「料率は何 % ですか」というケースが多くを占めます。月額や初期費用、現金管理の手間まで含めて尋ねられることは、実はそれほど多くありません。

ところが、月額 × 台数 × 年数の累積や、両替・集金の手間まで並べてご説明すると、「料率だけで比べていた」と気づかれる方が少なくありません。料率は入口の分かりやすい数字ですが、総額を決めるのはそれだけではない——現場で繰り返し感じる点です。

まとめ

  • 現金回帰は「料率ゼロ」でも「コストゼロ」ではない。両替手数料の有料化※2、集金の手間、盗難リスク、機会損失といった現金管理コストが戻ってくる。

  • 手数料は単なるコストではなく、対応できる客層を広げる「投資」でもある。料率の数字だけでなく、対応客層が広がることによる収益面も、天秤にかけて判断する。

  • キャッシュレスの費用は料率だけではない。端末初期費用・月額固定費・運用工数を含めた「総コスト」で見る。とりわけ月額(据置型で 3,000〜8,000 円前後※6)は積み上がりが見えにくい。

  • 選択肢は「やめる/続ける」の二択ではない。初期・月額の軽い端末、1 台への決済集約、機器・操作をまとめる運用で、総コストと手間そのものを下げる第三の道がある。

FinGo はどう支援できるか

本記事で見てきた「総コスト」の観点で言えば、FinGo の決済端末「PT-10 Pro」は、見落とされやすい初期費用と月額の両方を抑えた設計です。端末本体の負担も、毎月のランニングコストも軽く、「手数料は気になるが、初期費用や毎月の固定費は増やしたくない」という店舗でも、導入のハードルを下げられます。料率という一点ではなく、総コストで比べていただいたときに、選びやすい構造を目指しています。

操作面もシンプルにこだわっています。決済端末の操作が複雑だと、レジ対応の時間やスタッフ教育の手間といった「見えない工数」が増えます。直感的に使える端末にすることは、本記事で挙げた④の運用工数を抑えること、つまり総コストの削減に直結します。

さらに、PT-10 は 1 台で複数の決済手段に対応します。決済手段ごとに端末を分けたり、タブレットを別途揃えたりする必要がないため、レジまわりがすっきりし、複数の機器を抱えることによる運用の煩雑さも抑えられます。

「手数料が高いのでキャッシュレスをやめるか迷っている」「複数の端末や契約が煩雑で運用の手間が重い」——そうしたお悩みがあれば、料率だけでなく総コストの観点から、自店に合った形を一緒に整理します。お気軽にご相談ください。

FAQ

Q1. キャッシュレスをやめれば、手数料の分だけ得になりますか?

決済手数料は浮きますが、その分、現金管理のコストが戻ってきます。両替手数料の有料化※2、釣銭の準備、売上金の集計・入金の手間、盗難リスク、そして現金しか使えないことによる購買意欲の低下※4 などです。手数料と現金管理コストの双方を並べて、総コストで判断するのが現実的です。

Q2. 決済端末の月額費用の相場はいくらですか?

端末のタイプで変わります。スマホ・タブレットにつなぐカードリーダー型は月額 0 円のサービスが多く見られます※5。一方、端末単体で完結するオールインワンの据置型は、月額 3,000〜8,000 円前後が相場とされます※6。月額は売上がない月でも発生する固定費のため、料率と同じくらい総額に効きます。

Q3. 初期費用と月額を抑えてキャッシュレスを導入するには?

初期費用・月額がともに軽い端末を選び、1 台に複数の決済手段を集約して周辺機器を減らすのが基本です。端末が POS・レジまわりと連携し、機器や操作をできるだけまとめておくと、二重入力などの運用工数も抑えられます。料率の比較に加えて、初期・月額・工数を含めた総コストで比べることをおすすめします。


関連記事

決済の「月額費用」と「決済手数料」の基本的な考え方は、別記事で解説しています。 「新規開業時に知っておきたい『月額費用』と『決済手数料』の考え方」 https://note.com/fingo/n/n7d83d8c835cd

決済端末そのものの価格構造については、こちらもご参照ください。 「決済端末の価格における課題と LCT 端末について」 https://note.com/fingo/n/nfea785f09266

現金を扱うことの負担については、こちらで詳しく触れています。 「現金が店舗に与える"負担"とは?」 https://note.com/fingo/n/n73aa3f806bfd


出典

※1 Square「キャッシュレス決済サービスを導入する際に比較するポイントは?」(対面決済手数料の相場)https://squareup.com/jp/ja/townsquare/creditcard-reader-comparison
※2 静岡銀行「両替手数料・大量硬貨取扱手数料の改定について」 https://www.shizuokabank.co.jp/notice/detail/6323/ /北陸銀行「各種手数料改定のお知らせ(2024 年 7 月 5 日)」 https://www.hokugin.co.jp/info/files/pdf/240705b.pdf /北海道銀行「各種手数料改定のお知らせ(2024 年 2 月 19 日)」 https://www.hokkaidobank.co.jp/info/uploads/17083213621943861704.pdf ※3 MONEYIZM「金融機関で進む手数料の有料化!銀行の各種手数料について解説」 https://www.all-senmonka.jp/moneyizm/money/75706/
※4 バリューデザイン「キャッシュレス決済の導入効果は?」 https://cs.valuedesign.jp/column/cashless-effect
※5 マイナビ「店舗向けキャッシュレス決済の手数料比較」 https://news.mynavi.jp/store-and-smallbusiness/cashless-payment-fee-comparison/
※6 biz-owner.net「キャッシュレス決済の導入費用まとめ — 端末代金・手数料・月額料金」 https://biz-owner.net/payments/cost /OREND「クレジットカード決済端末おすすめの価格や手数料を比較」 https://orend.jp/mag/a0108


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