2025/07/31

キャッシュレス業界の社員が最近のあまりの変革に我慢できずに書いた、ステーブルコインと今後のキャッシュレス決済について

キャッシュレス業界の社員が最近のあまりの変革に我慢できずに書いた、ステーブルコインと今後のキャッシュレス決済について

※ステーブルコインについて一決済端末メーカーの社員の見解です。ご参考程度にお願いします。

ステーブルコイン($ステーブルコインを主軸として)


価格が安定するように設計された暗号資産(仮想通貨)の一種で、私たちがよく聞く、ビットコインとは異なる性質を持つ暗号通貨といえます。

2025年現在、長らく我々人類の歴史の経済面を担保していた資産である「金」を=ビットコイン(デフレ通貨)とすると、

1コイン=1$という、1対1の法定通貨価値として取引ができる、通常の$通貨と変わらない役割を担う暗号通貨となります。

ステーブルコインは不安定ではないのか?($ステーブルコインの米政府採用背景)


$ステーブルコインの米政府採用背景を一緒に見てましょう。

これには、現トランプアメリカの政府の、米国短期国債(T-Bills)の必要性に深く関わってきます。


今のアメリカの経済は、インフレの影響で物価高となっています。

物価高の場合、通常通貨の量を通貨政策として、通貨量を減らして金利を下げ、お金の価値を上げ消費を継続させることが教科書的な対応と言えます。

しかし、今アメリカは幸せなジレンマの狭間のあり、「インフレによる物価高だが、景気は良好で消費も強い。」要するに、物価は高いはずなんだけど、結構皆お金も持っているから、それでも物を買って消費をする訳です。政府的には、インフレと好景気が共存しており、金融緩和したいが、物価抑制も必要という難しい局面の中、通貨量を増やして金利を上げてもっと経済促進もできそうだけどどうしようかなこれ…と見ている訳です。


(+2025年に満期で返済すべき米国債は9兆ドルであり、利子も天文学的数字。米の立場からすると、短期国債を発行してロールオーバーしていかなければならない。→短期国債市場が重要)


「アメリカのドル発行と信用力の限界」


では、ドルをもっと刷ればいいのでは?と思いますが、それは簡単にはできません。何故なら既にアメリカの国債は、天文学的な数字になっており、これ以上国債を増やすことは、法的な制限(【制度名】:「債務上限(Debt Ceiling)」)と、国際的な信用のリスク(アメリカの返済能力への疑心=投資減)、金利が上がってしまうことによる、国内物価高で消費が減るというシナリオも見えているからです。

ポイント

説明

制度的な制限

議会による「債務上限」によって新規借金の量が制限されている

経済的な制限

インフレ、金利、為替市場による“市場のブレーキ”が存在する

信用的な制限

通貨の信認が崩れると、ドルの地位が揺らぐ

国際的圧力

他国が米国債を売る・ドルを避けるようになるとドルは弱体化

そこで採用されるのがステーブルコインとなります。


結論から言うと、$ステーブルコインはアメリカの国債と連携するようになっています


アメリカ政府の気持ちを想像してみましょう。


米の気持ち:ドルを増やしたら色々めんどいな。


→他に$を代替できるやつを市場に流して、国債を買ってもらえばいんじゃない?
→公式にドルを刷れなくても、民間ステーブルコインを通じてドル流通量を増やして、コイン発行者が短期米国債を購入することに法で決めて、財政運営の足しにすればいいんゃない?
→しかもこれブロックチェーンで安全性確保して、政府が1コイン=1$って法定通貨としますよって言ったら、海跨いでもコンビニで暗号通貨使えるようになるでしょ?暗号通貨でのドル覇権も維持して、尚且つ国債も担保できるなで俺らにはWinしかない。


という訳です。(わかるか)


[インフレ + 好景気] → 公式緩和できない

[民間発行のステーブルコイン拡大]

[ドル供給量増 / 債券需要拡大 / グローバル決済流通]

[結果的に「ドルを増やす」構造]


アメリカはこれまでも、長期国債を返せない間は、短期国債を上手く利用することにより、負債を返していました。ステーブルコインという暗号通貨を使いやすくすれば、=米国債の買い手が増える=財政運営の新たなツールとして盛り込める訳です。

(ビットコインの保有国トップクラスである、中国の中国元価値上昇を防ぎ、$覇権を再度確定できるという思惑もあります。)

既にステーブルコインを使っている国もある


以下の国々では、いずれも自国通貨の大幅下落や購買力喪失を防ぐ手段として、ドルやユーロなどに連動するステーブルコインが定着しています。=アメリカは、世界のドルライゼイション=ドルの覇権制覇に一歩近づく。


1. レバノン
背景:2019年以降、レバノン・ポンド(LBP)は急激に下落し、銀行の預金引き出し規制も相次いだ。
ステーブルコイン利用例:USDT(Tether)が最も流通。P2P取引や小規模決済、海外送金の手段として活発に使われている

2. ナイジェリア
背景:ナイラ(NGN)は慢性的なインフレと通貨切り下げに直面。外貨調達は難しく、国民は購買力を守る手段を模索。
ステーブルコイン利用例:USDT、USDCが人気。特にP2Pプラットフォームでのドル建て送金/決済手段として定着。

3. ベネズエラ
背景:長期にわたる極度のハイパーインフレ(数万%)で、ボリバル(VES)はほぼ価値を失った。
ステイブルコイン利用例:政府発行の「ペトロ」だけでなく、USDTやDAIも民間で広く流通。給与一部の受取や日常の決済に活用。

4. アルゼンチン
背景:ペソ(ARS)は高インフレに苦しみ、法定ドルの現地調達にも政府規制が厳しい。
ステーブルコイン利用例:USDTやUSDCを「仮想ドル」として保有・送金。家計のヘッジ手段として普及。

5. トルコ
背景:リラ(TRY)の急落・インフレで、貯蓄や送金に「代替通貨」を求める動きが強まる。
ステーブルコイン利用例:USDTのほか、円建てステーブルコイン(JPYC)やユーロ建てステーブルコイン(EURI)にも関心。

6. ジンバブエ
背景:2000年代半ばの極度のハイパーインフレを受けて、米ドルや南アランドと併用の「多重通貨制」を導入。
ステーブルコイン利用例:USDTをはじめとするドル建てステーブルコインが、キャッシュレス決済やリモート送金で活用されている。

ステーブルコインは不安定性に対する結論=アメリカ政府が潰れない限りは大丈夫


米国債が裏付けられているステーブルコインは、結論として、アメリカという大きな大企業が倒産しない限りは守られるといえるでしょう。

世界で最も信用度の高い金融商品である、米国債への安定性とイコールになるわけです。


しかし一方で、発行元のリスクはあると予想します。

コイン発行元収益の仕組み


発行体(例:Circle社)はこう運用します:

1 USDC が発行されると ユーザーから $1 の法定通貨が預けられる  
その $1 米国債 or 銀行預金として保管・運用される

発行体は、その運用利回りを「収益」とする

→ユーザーから $1 預かる → 短期米国債 (T-Bills) 購入 → 利息で稼ぐ


つまりは、発行元はある種の米短期国債の投資家となる訳なんですね。

※注意点※発行元は、任意の「債券投資」ではなく、資金受領時点で「債券担保による資産運用義務」が実質化されている。


例:

利率

運用利回り

収益($10B発行時)

1.0%

年1億ドル

小規模な利益

5.0%

年5億ドル

利益が5倍に拡大(現在の状況)


金利が高いほど、発行体にとっては「安定的に儲かる環境」になりますが、金利が低くなるほど、発行元の収入は減るわけです。国債と関係しますので、万が一倒産となる危機にさらせる場合も、一定の蘇生は施すかと思いますが、民間企業の性質上、経営難で倒れることは0ではないといえます。またそれは、競合するステーブルコインの市場競争力にもよるでしょう。

更には、暗号通貨自体の、ブロックチェーンやスマートコントラクト、オープンインフラのセキュリティー問題もあるでしょう。


背景のお話はこのくらいにして、本題に入りましょう。


通常の$通貨と変わらない暗号通貨。必要?


冒頭>1コイン=1$という、1対1の法定通貨価値として取引ができる、通常の$通貨と変わらない役割を担う暗号通貨となります。

→1$=1コインなのであれば、そんなもの不要なのではと思ったあなた。


このステーブルコインは、幾つか発行元がありますが、これらの発行元はブロックチェーンを用いてPeer to Peer(P2P)送金をします。

これらは既存の金融ネットワーク(銀行・カード・SWIFT)を通さず、ウォレット間で直接「価値」を移転できるという点で非常に画期的です。

ユーザー目線でいうとピンと来ないと思います。…?普通に新しい送金システムか何かが出てきたのかな?

重要な観点は、それだけではありません。


例:あなたがクレジットカードを一度使用するとすると、色んな金融網を通ることになります。


【従来型送金】

  1. 銀行/カード/決済代行を経由

  2. 営業日・為替・認証・中継ネットワークあり

  3. 清算・決済に時間差(T+1やT+2)


しかし、このステイブルコインの仕組みは、


【ステーブルコイン型送金(P2P)】

  1. ブロックチェーン台帳上で直接トークンを送る

  2. 通貨に裏打ちされた価値を即時かつ不可逆に移転

  3. 銀行口座不要・休日関係なし・中間機関ゼロ


本質は、“マネーそのものがインターネットネイティブ”になったこと


要するに、=既存の金融網を介さず、ウォレットアプリからウォレットアプリ(またはスマートフォンなどの端末から端末とも言える)に直接お金が送付される訳です。


この仕組みによって起きている変化

項目

ステーブルコイン

銀行/クレカ等

台帳

ブロックチェーン(誰でも参照)

銀行/CAFIS/カード会社が管理

通貨移動

ウォレットからウォレットへ直接

銀行口座、清算機関、カードネットワーク経由

承認者

コントラクト+チェーン検証者

銀行、カード会社、清算センター

清算

即時確定(オンチェーン)

時間差(T+1やT+2)で外部機関が後処理

依存関係

中央管理不要

SWIFT、ACH、CAFIS等に依存


「通貨の価値」と「送金のネットワーク」がブロックチェーンで融合されることによって、信頼の仲介者が不要になり、海外送金時のインターチェンジフィーや、複雑な決済インフラの問題を考慮しなくても済むようになるのです。

一般人目線で想像してみよう。(旅行客)


あなたが海外に行く場合、該当国の通貨を円から変えてもらい、手数料を払って物を買ったり、食事をしたりします。クレジットカードも同じ概念+金融網により、コストがかかります。しかし、海外どこでもステイブルコインが使えるようになれば、換金手数料も、金融ネットワーク利用料もかからず、コイン購入当時の$レートでコインを準備し、どこでも使えるわけです。レストランでも、コンビニでもキャッシュレス決済がコインで、$でできます。


※円からドルに換金は必要。手元にドルを持つ前提。

※新たなプラットフォームの出現により、手数料を払う場合もあると思います。例;円ステイブルコインの国内プラットフォーム提供者が、自社プラットフォームにて顧客へステイブルコインのウォレットアプリを提供する等、発行元ー事業者が介入する場合も想像できる。事業者自体が発行元であれば、更なる競争力を期待できるが、それは今後の法制度にもよると見る。※$ステイブルコインではなく、国産ステイブルコインを使用すべきかは需要という観点と共に疑問

事業者目線で想像してみよう。(海外送金)


あなたが海外に展開している事業をしていて、海外送金が至急必要になりました。リアルタイムで入金できる業者を手数料を支払って口座振替を行うか、審査を含めて何日か後に着金する口座を用いて送金をするとします。ステイブルコインはインターネット決済を利用するのと同じ感覚で、ビジネス送金が即時できます。

今後のキャッシュレス決済業界は?


ちょっと長文疲れてしまったので、急ぎでまとめますが、まだまだ情報はありますので、随時更新していこうと思います。

既存の金融網を通らない$ステイブルコインは躍進は、トランプ政権の推進と共に前に進んでいくことはほぼ間違いない所です。


端末から端末へのダイレクトなやり取りは、今後スマートフォン(端末)の役割=決済端末の役割の拡大を意味すると見ております。

いずれにしろ、ウォレットを収められる箱=端末(もしくはプリペイドチップ化もあり?)がないとステイブルコインの広がりというのは促進できない訳です。


そうなると、端末メーカーからの専用自社ステイブルコインもあり得るかもしれません。


$ステーブルコインを保持するということは、米国債を資産として形成できることを意味しますので、既にシェアを持っているメーカーから自社提供となれば、ユーザー目線では安価に容易に、自社目線では米国債の利回りと、金融網を通らない分手数料を払う必要がないと。国境の意味をなくすステイブルコインを使えば事業の拡大も容易になるはずです。


次回は日本のステイブルコインの今後について記述してみます。


本件に関して、端末メーカーのFinGoと事業のお話をしたいという方、お問い合わせフォームからご連絡ください。

質問でも構いません。 どうぞよろしくお願いいたします。

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